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NEWSLETTER No.1 Spring 2007  創刊特別号


 

 

 

1.第1回年次(創設)総会開催される

 

 世界銀行グループの5つの組織体(World Bank、IFC、IDA、ICSID、MIGA)に勤務した元日本人職員を母体とした日本人OB/OG会(正式名:1818 Society Japan Chapter)を立ち上げることを2006年6月16日世界銀行東京事務所での設立準備会で発議され、以来その準備を行ってきた。ようやくその準備も整い、去る3月24日、東京都内で、第1回年次総会が開かれた。

 世界銀行グループ全体のOB/OG会は、1978年、ワシントン本部内に設立され、昨年末現在で、世界各国に4,906名の会員数が加盟する組織として、種々の活動を行っている。88年には、英国支部が設立されたのを皮切りに、オランダ、フランス、ドイツ、チリ、フロリダ支部などが次々に設立されてきた。こうした動きに呼応するかたちで、このたびアジアで初めての支部が日本に設立された。多くの世銀グループ元日本人職員のOB/OGは、日本の雇用慣行などから、2~3年の勤務の後、日本の出身母体に戻るケースなども多く、1818 Society本部 の会則を適用すると会員資格を得られないケースも出るため、日本支部では、独自の会則を採択し、できるだけ多くの人びとが入会できるようにした。その結果、約100名の会(内約6割が日本支部のみに加盟、会員平均年齢50.3歳)としてスタートすることとなった。その後の消息が掴めず、連絡が取れなかった人たちや、在外居住の有資格者などを掘り起こし、会員相互の交流を通じて世銀グループで培った知識と経験を生かし、世界の貧困撲滅との戦いに今後とも多様なかたちで参画し、世界の平和と民主主義の実現に向け活動を続けることを目的とするユニークなOB/OG会であるべきことが、総会において確認された。

 総会には、ワシントン本部の1818 Societyを代表してAdrienne Nassau会長も出席し、総勢60名あまりが出席した。元MIGA長官のオーストラリア在住の寺沢芳男氏、シンガポール在住の元世銀コファインアンス担当柏谷光司副総裁や、世界銀行勤務の長いRADIFERAマダガスカル駐日大使なども駆けつけ国際色豊かな初の総会となった。 総会では、篠原尚之財務省国際局長の祝辞、NASSAU本部会長の祝辞・世銀を取りまく近況報告、一ツ橋大学イノベンションセンター所長である長岡貞夫教授の記念講演の後、設立経過報告、会則や、川口順子参議院議員の名誉会長、高橋正義会長(世界銀行工業局、ラテンアメリカ及びアジア技術局歴任、現在、立命館大学人間科学研究所)など12名の役員承認、今後の活動方針、年間予算などの報告がなされ原案通り承認された。特に、会の持続可能性を高めるため、以下の活動方針を当面の基礎として、着実な実績の積み上げにより、将来は、会としてNPO法人格取得をめざすこととした。


具体的活動は、以下の5本柱とすることが採択された。

 

  1. 1818 Society 本部会員はもとより、各国Chapter間交流事業も視野に入れた会員相互の親睦と交流促進を行う。
  2. 日本と世界銀行グループとの交流史(人的・知的・地球規模での環境・人道面での有形・無形の協力・交流の歩み(歴史)の検証を行い、その成果の編纂出版事業を立ち上げる。
  3. 専門性の違う開発のプロフェッショナルの知的交流をベースに新しい開発戦略への勉強会の開催とその成果の社会的提言を行う。(本項目は篠原尚之財務省国際局長の祝辞の中でも、特にChapter会員の役割への期待として強調されたことと合致した項目でもある)
  4. 世界銀行グループにおける適正規模での日本人職員の活動を持続可能にするための支援を継続的にシステマティックな形で展開する。
  5. 世界の開発戦略をリードしてきた世界銀行グループ職員OB/OG会であることをとくに自覚し、メセナ(MECENAT:社会的貢献)事業に眼を向け会員及びその知縁者、血縁者などの広い人的ネットワークを活用し、そのボランティア活動をベースにしたチャリテイ事業を行う。

 

特に、初年度と次年度の取組みについては、会員相互の積極的参画により講演会やメセナ活動なども順次一般公開を原則として開催予定である。 なお、開催の模様は、国際開発ジャーナル誌2007年5月号に掲載された。

 

 

2.1818 Society 本部発行の会員名簿にJapan Chapterのみの加盟の会員も掲載されることが承認された(重要:要回答)

 2007年5月9日開催された1818 Society Management CommitteeにおいてJapan Chapterから提案された1818 Society本部会員資格が無いメンバーでも、Japan Chapterの正式会員メンバーは、本部会員メンバーリストに掲載され毎年秋に発行される「1818 Society DIRECTORY OF RETIREES OF THE WORLD BANK GROUP」に掲載され名簿記載の住所に無料配布されることが承認された。 本記事に関する該当者は、約60名居られます。本部会員名簿に記載される項目は、氏名、住所、emailアドレスです。掲載希望会員は、6月15日(金)までに菊地邦夫幹事(kunio_kikuchi@yahoo.com)まで英文での氏名、住所、emailをお知らせ下さい。なお、連絡がない方は、掲載、名簿の無料配布を希望されない方と見なします。

 

 

3. What’s Happening in the Bank : Wolfowitz総裁辞任表明

 2007年5月9日開催された1818 Society Management Committeeにおいて世銀総裁Paul Wolfowitz,氏についての世評について意見交換が行われた。世界銀行の評価を著しく損なっているとのドイツチャプターから世界銀行ドイツ理事宛の書簡の紹介などや、FINANCIAL TIMESの詳細記事などの紹介があった後、全員で議論した結果、1818 Societyとしては、個人的色彩の濃い問題で退職者団体である1818 Societyが公式統一見解を出す必要は無いとの結論となった。理事会、職員ASSOCIATION マターとして今後も成り行きを注視していくことになった。

 会員の中でも関心のある方もあおりかと思います。

 ワシントン郊外にお住まいの菊地邦夫さんに内容を要領よく纏めていただきました。

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 去る5月18日金曜日に世界銀行総裁Mr.Paul Wolfowitzが6月30日をもって辞任すると表明しました。これをもって約7週間続いた世銀のごたごたに決着がついたわけです。まだ次期総裁の任命およびMs.Shaha Riza 本人の進退は決まっていません。この件については膨大な新聞、雑誌の記事がありますが、身近に本件をFollowして、また複数の世銀職員の話も聞き、事実に沿った報道をしている以下に記しましたWeb Addressの記事を参照しました。

 事件の概要は、Mr.Wolfowitzは最近アメリカでますます不人気のイラク戦争の仕掛け人でもあり、就任当初から彼の総裁としての資質に問題がありと指摘する人も多かったこともあり、就任以後も、世銀内および被援助国での人気は著しく低下していた。但し、世界銀行筆頭株主のアメリカ大統領の人選なので、余程のことがない限り、総裁を任期中に辞めさせることはできません。そんな折、任期半ばにして、総裁に不正があったと内部告発されました。以前から彼のGirl Friendだった世界銀行職員Ms. Shaha Rizaを、Conflict of Interestを避けるため総裁就任時にアメリカ国務省の傍系機関に出向させたまではよかったのですが、そのとき彼女に与えた厚遇条件が世銀の内部規定を大幅に上回っていたことが問題視された。それらの条件とは、出向前に昇進させるのは規定で許されるが、それに伴う昇給が規定の倍以上 出向中、毎年の昇給が規定の倍以上の契約 世銀に戻るときにさらに昇進するというものであった(出向中の給料は世銀が全額払う)。

 なぜわかりきった内部規則に違反した条件が「途上国の汚職を追及している」世界銀行内部で承認されたか疑問は残りますがですが、こうした厚遇条件が、規則に違反していることは、Mr.WolfowitzもMs.Rizaも知っていたはずで、総裁も理事会で「間違いだった」と証言したことがその証です。 就任当初から、波乱含みだったWolfowitz世界銀行総裁は、任期を3年残して2年目で結局引退を余儀なくされました。総裁が不祥事で任期途中に辞めるのは1945年発足の世銀で初めてです。

 

参考Web:

1.Washington Post By Peter S. Goodman

World Bank President Paul D. Wolfowitz resigned yesterday, effective June 30, yielding to demands from governments around the world that he leave to end the ethics controversy that has consumed the institution.

To view the entire article, go to

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/05/17/AR2007051700216.html?referrer=emailarticle

 

2.BBC News

** Profile: Paul Wolfowitz **

A close look at the career of World Bank boss Paul Wolfowitz, who was forced to quit over allegations of favouritism.

http://news.bbc.co.uk/go/em/fr/-/2/hi/business/1564448.stm

 

3.同じくBBC News

** Wolfowitz pays price for blunders **

The World Bank president has no-one else to blame for his downfall, writes the BBC's Paul Reynolds.

http://news.bbc.co.uk/go/em/fr/-/2/hi/business/6664107.stm

 

 その他、Financial Times, New York Times, Wall Street Journalなどが直接取材したと思われる記事を書いています。Mr.Wolfowitz に本人については、英文(US)Wikipediaが最適かと思います。残念ながら、日本の記事は間違ってはいないけれど今ひとつ話の本質が判り難いと感じました。

以上

ワシントンDCにて2007年5月21日 菊地邦夫 記

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 なお1818 Society members 内の本件に関する議論も盛んでいろいろな議論がなされています。

 大まかな分類では

1. ドイツChapter会長からドイツ理事に文書で辞任勧告をすべきだと進言しているように元職員も積極的に本件への意見を投げかけ事態の好転への影響力を発揮すべきだという意見グループ(イギリスchapterは、辞任賛成者の人数を1818 Society会長へ通知)。

2. 倫理問題は、意見が多様で判断への決め手を欠くので、退職者グループの1818 Societyは、この問題にあまり立ち入らず、理事会とStaff Associationの行動に注意を払うべきだ(会長集約意見:サイレントマジョリテイの意見か?・・下記参照))

 

 

Nassau会長から会員への1818 Societyとしての公式見解意見書

 

Dear Members

 

Many of us have been distressed by recent reports in the press about the involvement of the Bank's President in negotiating compensation to a personal friend in connection with her secondment. Indeed, a number of members have contacted the Society on this matter. The controversy has now expanded to include other management and policy decisions taken by Mr. Wolfowitz and senior staff appointed by him.

 

The Staff Association, former senior officials, and others have written separate letters to the Executive Directors stating their concerns, and indicating that Mr. Wolfowitz's presidency should be quickly brought to an end.

 

The 1818 Society's Board and Officers have considered whether to write a letter on behalf of the membership. All of us are saddened by the controversy, and its implications for the Bank's reputation and ability to raise funds to serve the poorest countries. We hope that the matter can be brought quickly to a conclusion. But most have noted that commenting on the current management of the Bank is outside the Society's role. In addition, we have no practical way to rapidly ascertain the views of the membership at large. Therefore, we have decided not to write to the Executive Directors on behalf of the Society.

 

However, we assume that individual members, or groups of former staff, will continue to express their views on these developments. Indeed, letters to the editor from several former staff members have already been published in newspapers such as the Financial Times. Those wishing to write to the Executive Directors may do so by writing to their own director with a copy to Eckhard Karl Deutscher, the Executive Director from Germany and Dean of the Bank's Board .

 

Sincerely,

 

Adrienne Nassau, President

 

3. 総裁擁護派は、今やアメリカと日本だけだとの一部の新聞情報を取り上げて面白おかしく問題視するグループ。

4. 会員一人一人の意見が集約し易いインタネット世論調査ソフトを採用して会員の正確な意見集約を効率良く出来るシステムを1818 Societyのホームページ上で出来るようにすべきだ(本件は、Web担当役員などの間で前向きに議論が進みつつあり近いうちに実現される可能性が高い)。

5. その他もろもろの意見が会員間のメールのやり取りで行われた。

 

 

4. 会員皆さんへのお願い

 2007年3月24日開催された第1回年次総会での活動方針に基づきJapan Chapterの活動も皆さんのご協力を得て本格化させたいと思っております。世界の開発プロジェクトの中でもParticipatory Developmentという概念は、既に常識になっておりますが、我Japan Chapterも会員各位の積極的なParticipatory Developmentなくしては、持続可能な発展は望めません。活動方針の中核を担っていただくことをお願いいたしました方々のみならず、会の持続的発展のためには、会員各位の皆様に様々な役割を担って行っていただく必要があります。

 以下に示す役割はそのごく一部です。皆様からの自発的・積極的なご参加・ご協力をいただきたく是非6月15日(金)までを目標に濱口治孝幹事(harutaka_hamaguchi@kenedix.com)までお申し出いただければ幸いです。

 

  1. 名簿DATAベース担当ボランテイア 1-2名

  2. ホームページメインテナンス担当ボランテイア 1-2名

  3. 年次総会企画運営ボランテイア 1-2名

  4. ニュースレター担当 ボランテイア 1-2名

  5. アドホックベースイベント企画運営 ボランテイア 1-2名

  6. 活動方針に沿った企画運営 ボランテイア 1-2名

  7. 会計経理担当 ボランテイア 1-2名

 

 

5. Japan Chapter Web Home の立ち上げについて

 2007年5月9日より不完全ながらJapan Chapter Web Homeを立ち上げました。完成度を上げるためには皆さんの建設的なご批判をいただきながら徐々に完成度を高めていきたいと思っております。

 アクセスするには、1818 Societyのトップページ(http://www.worldbank.org/1818)へアクセスするか、または、世銀のホームページ(http://www.worldbank.org/)へ入り、Searchで1818 Societyと入力しGoで表示された1818 Societyのホームページにアクセスするかして1818 Societyのトップページに入ります。トップページの1818 Society Chaptersの項をクリックするとJapan Chapterが出てきますのでそこをクリックして指示に従ってクリックを続けていただきますとJapan Chapterの原稿段階のホームページの内容を見ていただくことが出来ます。

 ロゴは、稲蔭名誉副会長とご家族の皆様のご協力で完成したものです。

 

 

6.今後のイベント開催予定

 

  1. 軽井沢大賀ホールで開催される 軽井沢国際音楽祭2007の初日:9月1日[土] 室内楽シリーズ鑑賞後、軽井沢プリンスホテルで懇親会開催予定(家族・友人参加歓迎、参加希望者は6月5日までに高橋正義:masayoshi.takahashi@verizon.netまでお知らせ下さい)。(注記)参加費未定。 参加人数によっては、チケット確保の関係で企画変更・中止することもあります。

  2. 2007年秋に開催される国際機関Day(国際開発ジャーナル社主催)に協賛参加を予定しています。皆さんのご協力をお願い申し上げます。

 

 

以上

 

 

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